B型肝炎訴訟の際には、給付金の受給対象者であることの証明が必要です。
そして、B型肝給付金の支給対象であることを証明するためには、いくつかの検査を受ける場合があり、その際には検査費用がかかります。
「B型肝炎訴訟のためにはどのような検査を受ける必要があるの?」
「どれくらいの検査費用が必要になるのかを事前に知っておきたい」
このように感じる方もいらっしゃるでしょう。
そこで今回は、B型肝炎訴訟に必要な検査費用や、検査費用以外にかかる費用として何があるのかを見ていきます。
B型肝炎給付金を受け取るための要件
B型肝炎訴訟のためにはいくつかの検査が必要な場合もあります。その理由はB型肝炎給付金を受け取る要件を満たしていることを証明するためです。
集団予防接種等で感染された方(一次感染者)が、B型肝炎給付金を受け取る要件は以下のとおりです。
- 1941年(昭和16年)7月2日~1988年(昭和63年)1月27日に生まれている
- B型肝炎ウイルスに持続感染している
- 満7歳になるまでに集団予防接種等を受けている
- 集団予防接種等以外の感染原因がない
B型肝炎給付金を受け取るための要件や、必要資料については以下のページで詳しくご説明しています。
B型肝炎訴訟を起こす際に必要な検査と費用
先ほどご紹介した要件を満たしていることを証明するために、次のような検査を受けていただく場合があります。
- HBs抗原検査
- HBc抗体検査(CLIA法またはCLEIA法)
- HBV分子系統分解検査(塩基配列比較検査)
- HBVジェノタイプ判定検査(EIA法)
- HBVサブジェノタイプ判定検査
それぞれの検査費用の目安は下記のとおりです。
ただし、以下の点にご注意のうえ、ご覧ください。
- 必要となる検査項目は個人によって異なる
- 基本的には1度に複数の検査を受けたほうが費用を抑えられる
- 病院によって初診料などの費用が発生する場合がある
- 診断書の作成料(3,000円~5,000円)が検査費用に上乗せされる場合がある
- これまでの症状や治療の内容などにより保険の適用で3割負担※となる場合がある
※70歳以上の方や6歳(義務教育就学前)未満の方など例外あり
HBs抗原検査の費用の目安
3,000円~5,000円
- ※検査代だけでなく初診料や診察代も含まれます
- ※保険適用外の場合
HBs抗原の検査は、現在B型肝炎ウイルスに感染しているのかを調べる検査です。HBs抗原が陽性である場合は、現在B型肝炎ウイルスに感染していることを示します。
HBs抗原の検査をすることで、要件のなかにあるご本人がB型肝炎ウイルスに持続感染していること(ご本人が6ヵ月以上の間隔を空けて検査を2回行い、2回とも陽性の場合)を証明できます。
HBc抗体検査(CLIA法またはCLEIA法)の費用の目安
4,000円~6,000円
- ※検査代だけでなく初診料や診察代も含まれます
- ※保険適用外の場合
HBc抗体の検査をすることで、過去から現在までに、B型肝炎ウイルスに持続感染していたか(またはしているか)を知ることができます。
HBc抗体を検査することで、要件の以下の項目を証明できます。
- ご本人がB型肝炎ウイルスに持続感染していること(高力価陽性の場合)
- 母子感染でないこと(お母さまのHBc抗体が陰性または低力価陽性かつHBs抗原陰性の場合)
HBV分子系統分解検査(塩基配列比較検査)の費用の目安
25,000円~35,000円
※お一人あたりの検査費用
HBV分子系統分解検査をすることで、B型肝炎ウイルスの塩基配列がわかり、ご本人とお父さままたはお母さまのB型肝炎ウイルスが同じものであるかを調べることができます。
HBV分子系統分解検査は、要件のなかで以下のことを証明するために行います。
- B型肝炎ウイルスに持続感染しているお父さまからの父子感染でないこと(B型肝炎ウイルスの塩基配列が異なるまたは判定不能の場合)
- B型肝炎ウイルスに持続感染しているお母さまからの母子感染であること(B型肝炎ウイルスの塩基配列が同じ場合)
HBV分子系統分解検査は、B型肝炎ウイルスの塩基配列を比較する方全員で受ける必要があります。そのため、検査費用も受けた方の人数分がかかることになります。
ただし、HBV分子系統分解検査を受けなくても、訴訟手続を進められる場合もあります。B型肝炎で受ける検査のなかでも高額な検査になりますので、事前に弁護士に相談し、検査の必要があるのかを確認しておくことをおすすめします。
HBVジェノタイプ判定検査(EIA法)の費用の目安
5,000円~10,000円
※ 診察料も含まれます
1996年(平成8年)1月1日以降にB型肝炎ウイルスへの感染が確認された方については、幼少期以降の感染が持続感染化した可能性があると考えられるため、ジェノタイプの検査結果の提出が必要となります。
一概にB型肝炎ウイルスといっても、そのなかには遺伝子型がいくつかあり、ジェノタイプAやジェノタイプBなどに分けられます。
そしてジェノタイプはサブジェノタイプで分けられて、ジェノタイプAならAaやAe、ジェノタイプBならBaやBjなどのサブジェノタイプがあります。
まずはジェノタイプAかそれ以外のジェノタイプなのかを判別する目的で、HBVジェノタイプ判定検査を行います。
HBVサブジェノタイプ判定検査の費用の目安
10,000円~20,000円
HBVジェノタイプ判定検査で遺伝子型がジェノタイプAと診断された場合は、HBVサブジェノタイプ判定検査を受けて、「ジェノタイプAa」なのか、「ジェノタイプAe」なのかを調べます。
日本に多いジェノタイプBおよびCの場合は、幼少期の感染でない限り、原則として持続感染しません。
しかし、ジェノタイプAeのB型肝炎ウイルスは、幼少期以降の感染であってもその10%前後が持続感染することが確認されています。
そして、ジェノタイプAeのB型肝炎ウイルスは、1996年(平成8年)以降に感染例が確認されています。
そのため、1996年1月1日以降にB型肝炎ウイルスへの感染が確認された方については、ジェノタイプの検査結果が必要となるのです。
検査費用の一部は和解後に国から支給される
ここまでご説明してきたように、B型肝炎訴訟のためには個々の状況に応じて、各種検査を受ける必要がありますが、和解が成立した場合、法令上以下のように一部の検査費用が国から支給されます。
- HBV分子系統分解検査の費用:63,000円または65,000円
- ジェノタイプの検査費用:8,500円(保険適用の場合は2,300円)
- サブジェノタイプの検査費用:15,000円
- お父さまのHBs抗原の検査費用:実費(要領収書)
和解後に検査費用の一部が支給されることで、経済的な負担が軽減されると考えれば、費用の懸念も少なくなるのではないでしょうか?
検査費用以外の訴訟手続にかかる費用
B型肝炎訴訟を起こす場合、検査費用のほかにも費用がかかります。具体的にどのような費用が必要になるのかを見ていきましょう。
医療記録の開示費用
B型肝炎訴訟では、集団予防接種等以外の感染原因がないと確認するために、カルテなど、医療記録を裁判所へ提出することがあります。
医療記録を提出する場合、通院した医療機関から医療記録を開示してもらう必要があり、開示手数料がかかります。
接種痕意見書の作成費用
母子手帳によって満7歳になるまでに集団予防接種等を受けたことを証明できない場合は、医療機関で接種痕が確認できる旨の医師の意見書を作成してもらう必要があります。
接種痕意見書の作成には、診断書の作成と同等の費用がかかります。
戸籍等の取得費用
戸籍謄本や戸籍の附票を発行する際にかかる手数料です。
B型肝炎訴訟の場合、次のような目的で戸籍謄本や戸籍の附票が必要になります。
- 両親や年長きょうだいとの関係を証明する
- 満7歳になるまでに集団予防接種等を受けていることを証明する※
- 集団予防接種等において注射器の連続使用があったことを証明する※
※母子手帳や予防接種台帳を提出できない場合などに必要
弁護士費用
B型肝炎訴訟を弁護士に依頼する場合、弁護士費用もかかります。
これまでにご紹介した検査費用と比較しても、大きい金額となる弁護士費用ですが、和解後の後払いとしている法律事務所もあります。
アディーレの弁護士費用は給付金受取り後の後払いです。
B型肝炎訴訟に関するご相談も無料ですので、給付金請求に向けて資料集めなどをする前に弁護士費用を用意する必要がなく、お気軽に弁護士にご相談いただくことができます。
検査費用はかかるけどB型肝炎訴訟をやるべき?
和解後に一部の検査費用は支給されますが、HBs抗原の検査費用などは支給されませんので、ご自身でご負担いただく必要があります。
しかし、「検査費用だけを懸念してB型肝炎給付金の請求を諦めてほしくない」と考えております。
その理由は以下のとおりです。
病態に応じて最大3,600万円の給付金が支給される
B型肝炎訴訟で国と和解すると、病態に応じて以下の給付金が支給されます。
症状 | 給付金(20年経過前) | 給付金(20年経過後) |
---|---|---|
・死亡 ・肝がん ・肝硬変(重度) |
3,600万円 | 900万円 |
肝硬変(軽度) | 2,500万円 | 現に治療を受けている方等 →600万円 上記以外の方 →300万円 |
慢性肝炎 | 1,250万円 | 現に治療を受けている方等 →300万円 上記以外の方 →150万円 |
無症候性キャリア | 600万円 | 50万円 +和解後の定期検査費用等 |
上記の表で触れている20年経過とは、以下の日付から数え始めることになります。
無症候性キャリアの方
- 出生日または予防接種等を受けた日
- 母子感染の場合は出生日等
発症している方
- 病気を発症した日(肝がんや慢性肝炎は再発したときを起算点とできる場合もあります)
- B型肝炎ウイルスに起因して亡くなられた方については亡くなられた日
治療や定期的な検査には大きな費用がかかります。給付金を受け取ることで、少なくとも費用面の心配をせずに治療などに専念できるようになります。
無症候性キャリアの方は定期検査費用等も支給される※
出生または集団予防接種等から20年が経過している無症候性キャリアの方の場合、受け取れる給付金の金額は50万円です。
そのため、「和解しても弁護士費用や検査費用などで相殺されて、給付金がほとんど手元に残らないのでは?」と感じる方もいらっしゃるかもしれません。
それでも、B型肝炎給付金の請求をおすすめしているのは、国との和解後に給付金とは別に、以下の費用も支給されるためです。
- 慢性肝炎などの発症を確認するための定期検査費用
- 母子感染防止のための医療費
- 世帯内感染防止のための医療費
- 定期検査手当
検査費用等の支給を受けることで医療費の負担が減り、検査を受けやすくなりますので、健康状態の確認や、万が一病態に変化があったときの早期発見に繋がります。
※出生または集団予防接種等から20年が経過している無症候性キャリアの方
まとめ
B型肝炎訴訟で必要になる検査とその費用の目安をまとめると、以下のようになります。
検査項目 | 検査費用の目安(円) |
---|---|
HBs抗原検査 | 3,000~5,000 |
HBc抗体検査(CLIA法またはCLEIA法) | 4,000~6,000 |
HBV分子系統分解検査(塩基配列比較検査) | 25,000~35,000 (お一人あたりの検査費用) |
HBVジェノタイプ判定検査(EIA法) | 5,000~10,000 |
HBVサブジェノタイプ判定検査 | 10,000~20,000 |
※検査代だけでなく初診料や診察代も含まれます
※保険適用外の場合
このように、B型肝炎訴訟の手続を進めるにあたって、どうしても検査費用が発生してしまいます。
それでもB型肝炎訴訟で和解が成立することで、大きな金額の給付金を受け取れますし、無症候性キャリアの方※は定期検査費用の支給を受けることもできます。
アディーレは、B型肝炎訴訟のご依頼も受け付けております。ぜひお気軽にお問合せください。
※和解が成立した無症候性キャリアの方のうち集団予防接種等または出生後から20年以上が経過している方
アディーレに依頼すれば弁護士費用も後払いで安心
B型肝炎訴訟に必要な資料を集めるために、どれくらいの検査費用がかかるのかをご紹介してきました。
それらの費用に加えて、弁護士費用も事前に支払うとなれば、お金の準備も大変ですし、「和解できなかったらお金を無駄にすることになるのかな?」と不安に感じられる方もいらっしゃると思います。
あなたがアディーレに依頼された場合、弁護士とのご相談は無料ですし、弁護士費用は受け取った給付金からのお支払いとなります。
そのため、すぐに用意しないといけない金額を最小限に抑えることができます。
ご相談の段階では、書類も不要ですし、検査などを受けている必要もありません。
弁護士がご状況などを伺い、「この検査を受けてください」など、適切なご提案をさせていただきますので、給付金請求を検討されている方はお気軽にアディーレにお電話ください。
監修者情報
- 資格
- 弁護士,行政書士(有資格),肝炎医療コーディネーター※
※地域により名称が異なります。 - 所属
- 東京弁護士会
- 出身大学
- 香川大学法学部,広島修道大学法科大学院,早稲田大学大学院法学研究科(修士課程)
何の落ち度もない方々が、B型肝炎ウイルスに感染し、その本当の原因もわからずご本人やそのご家族が辛く苦しい思いをされてきました。その方々を救済するためにB型肝炎訴訟の制度ができました。おひとりで悩まず、気になることはどんなことでもお気軽にご相談ください。皆様の心の支えになれるよう、常にご依頼者様の立場になって考え、B型肝炎訴訟のお手続きをさせていただきます。